「災害時の電源確保に関する定量的な指標作成」に向けた共同研究の成果について

Rebglo.は、東京大学 生産技術研究所 沼田研究室と、2022年9月から行っている「災害時の電源確保に関する定量的な指標作成」に向けた共同研究の成果をまとめるとともに、沼田研究室より各ジャーナルやシンポジウムなどでその成果が発表されました。

共同研究の概要と目的

現在、様々な組織でBCPの構築が進められている中、災害時の電源確保については、定量的な指標が整備されておらず、国からの概算指標、過去の経験などを頼りに非常電源装置などが準備され、事業継続するために必要とされる電力量が確保できているのか評価ができていない実態がありました。そこで、実効性と有効性を兼ねそろえた電力BCPを構築するため、災害時の電源確保に必要な能力要件を定義することを目的に共同研究を開始いたしました。

共同研究の成果

1. 日本の漁業・漁港における災害リスクの評価

本研究では、災害により甚大な被害が生じるにもかかわらず、本来対策をすべき漁港において対策ができていない状況を踏まえ、漁港別、地域別に災害の危険度を示すことで、適切な災害対策を促進することを目的としており、漁港・漁業地区の災害リスク評価を行い、各漁港・漁業地区の地震リスク、津波リスクを明らかにし、今後の地震によるストック被害額の算出を行いました。また、停電被害にも注目し、操業停止に対するフロー被害の推計及び、漁港における重要電力設備の特定を行い、停電リスクの評価も行っております。

2. 高齢者福祉施設の防災行動を規定する要因の分析

本研究では,災害時の事業継続が重要な業種である高齢者福祉施設に注目し,当該施設の防災対策への影響要因を明らかにすることを目的としており、アンケート調査や統計的分析により、当該施設の防災対策を促す要因、阻害する要因を特定と、現場の対策実施を促す方向性の検討を行いました。


3. 高齢者福祉施設の電源確保対策のあり方

本研究では、高齢者福祉施設の電源確保対策に関して、ライフライン停止時に必要な電力機器の特定、電力使用のシナリオの提案を行い、電源確保対策の指標となる考察を提示することを目的としており、当該施設の現地調査をもとに、停電時の必要電力(kW)、必要な電力量(kWh)の推計を行いました。また、当該施設の簡単な情報より、停電時の必要電力(kW)、必要な電力量(kWh)の推計する手法を確立いたしました。こちらは、今後、電源確保の支援ツールとして運用する予定です。


4. 停電の長期リスクの評価

本研究は、台風が引き起こす停電の復旧完了時間の推計、停電の長期化の危険性の高い地域の特定を行い、電源確保対策に有効な材料を提示することを目的としており、配電設備被害に対する人員配置のシミュレーションを開発し、道路データや、土砂災害警戒区域データなどと合わせることで、被害箇所の時間推移、停電が長期化する恐れのある地域の特定を行い、「最大3日程度」「最大3日以上」の二つの停電の危険性での評価を可能にしました。


今後の展望

高齢者福祉施設の電源確保支援ツールについては、停電の長期リスクの評価と連携させ「災害時の電源確保に関する定量的な指標」となるべく改良を行い、近く試験導入を開始し、本格的な市場での運用を目指してまいります。

CONTACT お問い合わせ

ご相談・ご質問、お見積もり依頼など、
まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ